2004-09-09

都市と時間17

イジャゲルIjhagerに入っても,あなたの目にとっぴな物事が飛び込むことはない。
故に,多くの過ぎ人は,その名前の下に付け加える説明を空のままにする。
というのも,この都市がイジャゲルたる所以はここで一泊してからじゃないと分からないからだ。

宿屋で目が覚めても,あなたは恐らくしばらくは何ら特異なところを感じることはない。
日めくりカレンダー,或いは手帳を手にするまでは。
そこであなたはやっと気付く。
1.あなたの記憶では,昨夜は17日だったのに,今朝では既に19日になっている。
2.或いは,あなたがちゃんと18日までの記憶が疑いなく存在するのに,訪れる日は再び17日を告げる。

あなたが17日を暮らしている中で,
19日を暮らすあなたの隣人が,17日の仕事に勤しむ売り子から買い物をすることは何ら珍しいことではない。
(休日がかみ違ったりした時は多少文句は言うものだが)
どちらの驚きがどの市民に訪れるかは,
2つの甲子をイジャゲルで歩んだ大長老にも分からない。
彼はそれを「(唯一)時間の女神の左目・右目」と呼ぶ。
もちろんこの国でも,時間の女神は3柱で一目を共有するとの言い伝えはわが国と違わないが。

都市は平然としている。それに市民たちも。
そう。あなたは常にいるべき場所があるし,
時間の女神があなたから奪い取った時間は元からあなたのものではなく,
誰かのものなのだ。

Ending2:
(都市は平然としている。それと同じように市民たちも。
そうして,あなたも嘆くべきではない。
あなたが居るべきところは誰かが居るはずになっているし,
あなたは誰かが居るべきところに居る。)

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